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拡散係数もいろいろ(6)

渡邉孝信(早稲田大学・電子物理システム学科)

そもそも「平均」とは何か?

一般に、確率変数\(X\)の期待値\(\left<X\right>\)は

$$\left<X\right>=\int Xp(X)dX\tag{6.1}$$

で計算されます。ここで\(p(X)\)は確率密度関数です。\(p(X)dX\)が、確率変数\(X\)が\(X\)と\(X+dX\)の値を取る確率を表します。

衝突が起きない時間(無衝突時間)が\(t\)秒間続いたあとで、\(t\)から\(t+dt\)の間に衝突が起こる確率を\(p(t)dt\)とすると、\(\left<t\right>\)は

$$\left<t\right>=\int_0^{\infty}tp(t)dt\tag{6.2}$$

で計算されます。もし\(p(t)\)を

$$p(t)=\left\{\begin{array}{ll}\frac{1}{\overline{t}},&t<\overline{t}\\0,&t\geq\overline{t}\end{array}\right.\label{uniform}\tag{6.3}$$

という一様分布(図6.1(a)参照)と仮定するなら、

$$\left<t\right>=\int_0^{\overline{t}}\frac{t}{\overline{t}}dt=\frac{1}{\overline{t}}{\left [\frac{1}{2}t^2 \right ]}_0^{\overline{t}}=\frac{\overline{t}}{2}\label{meanuni}\tag{6.4}$$

となり、ドルーデが最初に定式化したドリフト移動度の式

$$\mu=\frac{q\overline{t}}{2m}  (←間違い!)\label{drude}\tag{5.1 再掲}$$

が導かれます。

図6.1 一様分布と指数分布

 

一方、電子の衝突は全く偶発的に起こるイベントと考えられ、定常ポアソン過程で記述されます。その場合、衝突と衝突の時間間隔が従う分布関数\(p(t)\)は、指数分布

$$p(t)=\frac{1}{\overline{t}}e^{-\frac{t}{\overline{t}}}\label{expdist}\tag{6.5}$$

に従います(図6.1(b)参照)。そうすると、無衝突時間の平均は

$$\left<t\right>=\int_0^{\overline{t}}t\frac{1}{\overline{t}}e^{-\frac{t}{\overline{t}}}dt=\overline{t}\label{meanexp}\tag{6.6}$$

となり、正しいドリフト移動度の式

$$\mu=\frac{q\overline{t}}{m}  (←正しい!)\tag{5.5 再掲}$$

が導かれます。

式\(\eqref{uniform}\)の一様分布では、上限の\(\overline{t}\)を超えて無衝突時間が継続することはありませんが、式\(\eqref{expdist}\)では非常に長く無衝突時間が継続することも、低い確率ながら起こりえます。持続時間が長いサンプルは、積分する際に時間が大きな重みとして効いてきますので、発生確率が低くてもそれなりに期待値に寄与するのです。その結果、式\(\eqref{meanexp}\)のように期待値が式\(\eqref{meanuni}\)の2倍になるのです。

このように、一口に「平均」と言っても、どんな確率分布を想定するかによって、その結果は顕著に変わりうるのです。

拡散係数もいろいろ(5)

渡邉孝信(早稲田大学・電子物理システム学科)

ドルーデも1/2倍していた!

係数に1/2倍の違いが生じる問題は、第2回で少し触れたように、ドリフト移動度\(\mu\)でも起こっていました。ドルーデが1900年に発表した電気伝導理論の論文

$$\mu=\frac{q\overline{t}}{2m}  (←間違い!)\label{drude}\tag{5.1}$$

と定式化されていたのです。この問題を掘り下げていくと、拡散係数の1/2倍の違いの原因も見えてきます。まず、ドリフト移動度についておさらいをしたのち、どうして移動度を式\(\eqref{drude}\)で表したのか、式\(\eqref{drude}\)がどうして誤りだという結論に至ったのか、見ていくことにしましょう。

図5.1 導体中の電子の運動の軌跡。(a)電界が印加されていないとき。(b)電界が印加されているとき。

 

図5.1は、導体中の電子の運動の軌跡を模式的に示した図です。図5.1(a)は外から電界が印加されていない状態です。電子は熱エネルギーをもって絶えずブラウン運動していますが、不純物イオンやフォノンなどと衝突を起こす度に頻繁に移動方向を変え、移動方向は完全にランダムになります。時間平均を取ると特定の方向への移動はなくなり、正味の電流はゼロとなります。

図5.1(b)は、外部から電界を印加したときの様子です。この場合も電子はランダムな運動をしますが、衝突イベントと衝突イベントの間に電界によって加速されます。長時間平均を取ると、電子は定常的な速度\(\boldsymbol{v}_d\)で電界ベクトルの方向(と逆向き)に移動する傾向を示します。 \(\boldsymbol{v}_d\)がドリフト速度です。

電子のドリフト移動度\(\mu\) (cm\({}^2\)・V\({}^{-1}\)s\({}^{-1}\))は、次式で定義されます。

$$\mu\equiv -\frac{\boldsymbol{v}_d}{\boldsymbol{E}}\tag{5.2}$$

\(\boldsymbol{E}\)(V/cm)は外部から印加する電界です。この式、つまりドリフト速度を、平均自由時間\(\overline{t}\)を使った微視的な描像で定式化してみましょう。

今、外部電界\(E\)が\(x\)軸方向に一様に印加されているとし、個々の電子がニュートン方程式に従って運動するとみなすと、運動方程式の\(x\)成分は

$$m\frac{d v_x}{dt}=-qE\tag{5.3}$$

となります。直近の衝突が時刻0で起こったとし、次の衝突が起こる前の時刻を\(t\)とすると、運動方程式の解は

$$m v_x(t)-mv_x(0)=-qEt\tag{5.4}$$

となります。これを多数の電子についてアンサンブル平均をとると、

$$m\left <v_x(t)-v_x(0)\right >=-qE\left<t\right>\tag{5.4}$$

となります。左辺の\(\left <v_x(t)-v_x(0)\right >\)は、衝突と衝突の間に獲得する速度の平均なので、これがドリフト速度 \(v_d\)とみなせます。右辺の\(\left < t\right >\)は、電界によって加速される時間のアンサンブル平均です。これを平均自由時間、すなわち\(\left<t\right>=\overline{t}\)とみなせば、

$$\mu=\frac{q\overline{t}}{m}  (←正しい!)\tag{5.5}$$

となり、期待どおりのドリフト移動度の式が導かれます。

一方、ドルーデが最初に示した式\(\eqref{drude}\)では、 \(\left < t \right > =\overline{t}/2\)としていることになります。

どうして1/2倍したくなるのか?

ドルーデが\(\mu=q\overline{t}/(2m)\)を採用する決め手となった理由はおそらく、金属の電気伝導度と熱伝導度の比が温度に比例するというヴィーデマン・フランツ則が、 \(\mu=q\overline{t}/(2m)\)とおくことで、当時の古典論の枠組みで定量的に説明できた(できてしまった)からだと想像できます。しかし、ドルーデほどの人がつじつま合わせをしたわけではないでしょうから、1/2倍した明確な根拠もあったはずです。

ドルーデがどうして\(\mu=q\overline{t}/(2m)\)としたのか、真意はわかりませんが、次のように考えれば、1/2をつけたくなる気持ちが想像できます。

図5.2 時間と獲得速度の関係

 

図5.2は、時間間隔\(\overline{t}\)で衝突する典型的な電子が、電界から獲得する速度と時間の関係を示したグラフです。前の衝突から次の衝突までの間、速度は時間に比例して増加します。衝突の度に速度はリセットされ、熱運動以外の速度成分はゼロとなります。すると、平均自由時間\(\overline{t}\)内に電界によって増える速度成分の時間平均は、最終的に獲得する速度\(qE\overline{t}/m\)の1/2となります。

一見まっとうな考え方に思えますが、一体、この考え方のどこが良くないのでしょう? この疑問は、「平均値」を計算する際に暗に想定している「確率分布」の違いに気づくことで解消できます。

 

拡散係数もいろいろ(4)

渡邉孝信(早稲田大学・電子物理システム学科)

前々回の記事で、\(D=\overline{v}\overline{l}/3\)であれば、エネルギー等分配則とアインシュタインの関係式を使ってドリフト移動度\(\mu\)と関係づけることができることを示しました。さらに前回の記事で、\(D=\overline{v}\overline{l}/3\)という式は、ボルツマン方程式の定緩和時間近似の解から導かれる拡散係数とも整合する、という話をしました。

しかし、気体分子運動論に基づく初等的な方法で\(D=\overline{v}\overline{l}/3\)を導こうとすると、少々やっかいな問題が起こります。今回はこの問題を掘り下げてみます。

 半導体デバイスの代表的テキストと言えば、ジィー(S. M. Sze)の本でしょう。最近ではベティ・アンダーソンとリチャード・アンダーソンの「半導体デバイスの基礎」が現代的テキストとして世界標準になっているようです。ジィーの本は何種類かありますが、気体分子運動論を用いて拡散係数\(D\)を導いているのは、初学者向けの「半導体デバイス:基礎理論とプロセス技術」です。まずは、このジィーの説明を見ていきましょう。

ジィーの本の説明

図4.1に示すように、\(x\)軸方向に電子密度\(n(x)\)が変化している、温度が一様な導体を考えます。\(x=x_0\)の面を、単位時間、単位面積あたりに通過する電子の数を計算してみましょう。電子は平均熱速度\(\overline{v_x}\)で\(x\)軸に沿ってランダムに運動しているものとし、その平均自由行程を\(\overline{l_x}\)とします。平均自由時間を\(\overline{t}\)とすると、\(\overline{l_x}=\overline{v_x}\overline{t}\)が成り立ちます。\(x=x_0-\overline{l_x}\)の位置にある電子の1/2が、\(+x\)方向を向いているので、平均自由時間\(\overline{t}\)内に\(x=x_0\)の面を通過するチャンスがあります。したがって、単位時間、単位面積あたりに\(x=x_0\)の面を、\(+x\)方向に横切る電子の平均流束\(F_+\)は

$$F_+ = \frac{\frac{1}{2}n(x_0-\overline{l_x})\cdot\overline{l_x}}{\overline{t}}=\frac{1}{2}n(x_0-\overline{l_x})\overline{v_x}\label{rightflux}\tag{4.1}$$

とジィーの本で表されています。

図4.1 ジィーのモデル

 

 同様に、\(x=x_0+\overline{l_x}\)の位置にある電子の1/2が、平均自由時間\(\overline{t}\)内に\(x=x_0\)の面を\(-x\)方向に通過できると考えられるので、単位時間、単位面積あたりに\(x=x_0\)の面を、\(-x\)方向に横切る電子の平均流束\(F_-\)は

$$F_- = \frac{\frac{1}{2}n(x_0+\overline{l_x})\cdot\overline{l_x}}{\overline{t}}=\frac{1}{2}n(x_0+\overline{l_x})\overline{v_x}\label{leftflux}\tag{4.2}$$

となります。

 したがって、正味の流束\(F_x\)は

$$F_x=F_+-F_-=\frac{1}{2}\overline{v_x}\left\{ n(x_0-\overline{l_x})-n(x_0+\overline{l_x})\right\}\tag{4.3}$$

となります。ここで、電子密度\(n(x_0\pm \overline{l_x})\)を\(x=x_0\)の周りで1次の項までテーラー展開すると、

$$\begin{eqnarray}F_x &=& \frac{1}{2}\overline{v_x}\left\{n(x_0)-\overline{l_x}\frac{dn}{dx}-n(x_0)-\overline{l_x}\frac{dn}{dx}\right\}\\&=&\frac{1}{2}\overline{v_x}\left(-2\overline{l_x}\frac{dn}{dx} \right)=-\overline{v_x}\overline{l_x}\frac{dn}{dx}\end{eqnarray}\tag{4.4}$$

となり、拡散係数\(D\)は

$$D=\overline{v_x}\overline{l_x}\tag{4.5}$$

となります。3次元空間での平均速度\(\overline{v}=\sqrt{3}\overline{v_x}\)と平均自由行程\(\overline{l}=\sqrt{3}\overline{l_x}\) を使って表すと

$$D=\frac{1}{3}\overline{v}\overline{l}\tag{4.6}$$

となり、ボルツマン方程式から導かれる拡散係数と一致します。

以上の導出は、一見何も問題がなさそうに思えるかもしれません。筆者も学生時代は全く疑問に思いませんでした(たいして深く考えていなかっただけですが)。拡散現象の本質はしっかり捉えているので、これで納得できるならそれで良いのです。

しかし、読者の中には、式\(\eqref{rightflux}\)と式\(\eqref{leftflux}\)において、\(x=x_0\)の面を通過するチャンスがある電子数を

$$\frac{1}{2}n(x_0\pm\overline{l_x})\cdot\overline{l_x}\tag{4.7}$$

とおいている点に違和感を抱く方もいることでしょう。\(x=x_0\)の面を通過できる電子が、\(x_0-\overline{l_x}<x<x_0\)もしくは\(x_0<x<x_0+\overline{l_x}\)の範囲にいる電子(の半数)だとするなら、これらの区間の電子密度を\(x=x_0\pm\overline{l_x}\)の点の密度で代表させてよいものか、と思う方もいるのではないでしょうか。むしろ、\(x=x_0\pm\overline{l_x}/2\)の点の密度で代表させた方がよさそうに思えます。

アンダーソンらの本の説明

 ジィーの導出で抱く上記の疑問点を解消したような説明をしているのが、アンダーソンらの「半導体デバイスの基礎」です。この本は第1版が2005年に出版され、樺沢宇紀氏による日本語訳が2008年にシュプリンガージャパンから出版された本です。筆者も2009年から所属学科で開講した「電子デバイス」の教科書として採用し、現在も使用しています。

図4.2 アンダーソンらのモデル

 以下の説明はアンダーソンらの本の表現と若干異なりますが、本質的な意味は同じです。考える系もジィーと同じで、図4.2に示すように、\(x\)軸方向に電子密度\(n(x)\)が変化している、温度が一様な導体を考えます。\(x=x_0\)の面を、\(+x\)方向に通過する電子の数は、\(x_0-\overline{l_x}<x<x_0\)の範囲にいる電子の1/2と考えられるので、単位時間、単位面積あたりに\(x=x_0\)の面を、\(+x\)方向に横切る電子の平均流束\(F_+\)は

$$F_+ =\frac{1}{2}n(x_0-\overline{l_x}/2)\overline{v_x}\tag{4.8}$$

となります。同様に\(x=x_0\)の面を、\(-x\)方向に横切る電子の平均流束\(F_-\)は

$$F_- =\frac{1}{2}n(x_0+\overline{l_x}/2)\overline{v_x}\tag{4.9}$$

となります。したがって、正味の流束\(F_+\)は

$$F_x=F_+-F_-=\frac{1}{2}\overline{v_x}\left\{ n(x_0-\overline{l_x}/2)-n(x_0+\overline{l_x}/2)\right\}\tag{4.9}$$

となります。電子密度を\(x=x_0\)の周りで1次の項までテーラー展開すると、

$$\begin{eqnarray}F_x &=& \frac{1}{2}\overline{v_x}\left\{n(x_0)-\frac{\overline{l_x}}{2}\frac{dn}{dx}-n(x_0)-\frac{\overline{l_x}}{2}\frac{dn}{dx}\right\}\\&=&-\overline{v_x}\frac{\overline{l_x}}{2}\frac{dn}{dx}\end{eqnarray}\tag{4.10}$$

となり、拡散係数\(D\)は

$$D=\frac{\overline{v_x}\overline{l_x}}{2}\label{andersonsdiffusivity}\tag{4.11}$$

となります。予想できていた方も多いと思いますが、ジィーの本の拡散係数の半分になってしまいました。3次元空間での平均速度\(\overline{v}=\sqrt{3}\overline{v_x}\)と平均自由行程\(\overline{l}=\sqrt{3}\overline{l_x}\) を使って表すと

$$D=\frac{1}{6}\overline{v}\overline{l}\tag{4.12}$$

となります。

アンダーソンらの本の日本語訳版には、訳者の樺沢氏が以下の訳注をつけています。


モデルの設定方法や\(\overline{l}\)、\(\overline{t}\)の定義の仕方に依存して\(D=(1/2)\overline{l}^2/\overline{t}\)の定数項の付き方は微妙に違ってくるので(たとえば3次元系のBoltzmann輸送方程式に基づき緩和時間\(\tau\)の定数近似を採用すると、\(D=(1/3)l^2/\tau\))、\(D=(1/2)\overline{l}^2/\overline{t}\)を厳密な”定義式”として計算に用いることはないと見てよい。


\(\overline{l}\)、\(\overline{t}\)の定義に依存するとはどういう事なのでしょうか? 「微妙に違ってくる」とはどういう事なのでしょうか? 次回以降の記事で、この疑問に答えていきます。

拡散係数もいろいろ(3)

渡邉孝信(早稲田大学・電子物理システム学科)

ボルツマン方程式から拡散係数を導く

 非平衡統計力学のボルツマン方程式を学ぶと、ドリフト移動度を定義しなくても、

$$ D= \frac{1}{3}\overline{v}\overline{l}\label{diffusivity3}\tag{3.1}$$

を比較的すっきりと導くことができます。ボルツマン方程式とは、空間座標\(\boldsymbol{r}\)と運動量\(\boldsymbol{p}\)の6次元の位相空間における、粒子系の分布関数\(f(\boldsymbol{r},\boldsymbol{p},t)\)についての微分方程式で、次式で与えられます。

$$ \frac{\partial f}{\partial t}+\frac{\boldsymbol{p}}{m}\cdot\frac{\partial f}{\partial \boldsymbol{r}}+\boldsymbol{F}\cdot\frac{\partial f}{\partial \boldsymbol{p}}=-{\left (\frac{\partial f}{\partial t}\right )}_c\label{boltzmann}\tag{3.2}$$

\(\boldsymbol{F}\)は粒子系に加わる外力、\(-{\left (\frac{\partial f}{\partial t}\right )}_c\)は衝突によって生じる変化、すなわち、微小領域\(d\boldsymbol{rp}d\boldsymbol{p}\)において微小時間\(dt\)に衝突によって生じる\(f\)の変化を表します。この衝突項\(-{\left (\frac{\partial f}{\partial t}\right )}_c\)を

$$ -{\left (\frac{\partial f}{\partial t}\right )}_c=-\frac{f-f_0}{\tau}\tag{3.3}$$

とするのが緩和時間近似です。\(\tau\)が緩和時間と呼ばれるパラメータで、\(f_0\)は熱平衡状態の分布関数を表します。今、外力\(\boldsymbol{F}\)が加わっておらず、濃度の一様な系を仮定すると、式\(\eqref{boltzmann}\)において\(\boldsymbol{F}=\boldsymbol{0}\)、\(\frac{\partial f}{\partial \boldsymbol{r}}=\boldsymbol{0}\)とおけるので、

$$ \frac{d f}{d t}=-\frac{f-f_0}{\tau}\tag{3.4}$$

が解くべき微分方程式となります。初期値\(f(0)\)を境界条件とする解は

$$ f(t)=\left ( f(0) – f_0 \right ) e^{-\frac{t}{\tau}}+f_0\tag{3.5}$$

となり、時定数\(\tau\)で\(f_0\)に落ち着いていく、という解になります。

衝突が分布関数に与える影響は、本来、電子の運動エネルギーに依存するはずです。例えば、半導体中の電子が不純物イオンと衝突する場合、電子が速く動いている時はゆっくり動くときと比べて、不純物イオンの周辺のポテンシャルの影響は小さく、正面衝突するのでなければ、進路はそれほど大きく乱されません(図3.1参照)。よって緩和時間\(\tau\)は\(\boldsymbol{p}\)の関数\(\tau(\boldsymbol{p})\)とみなすべきです。それを無視して、緩和時間\(\tau\)を定数とおいてしまおうという、ざっくりした近似を、定緩和時間近似と呼びます。

図3.1 キャリア散乱の速度依存性

 

 拡散電流は、分布関数が実空間上で一様でない場合に生じます。外力\(\boldsymbol{F}\)がなく、濃度が一様でない状態で系が定常状態にあるとき、式\(\eqref{boltzmann}\)において\(\boldsymbol{F}=\boldsymbol{0}\)、\(\frac{\partial f}{\partial t}=0\)とした

$$ \frac{\boldsymbol{p}}{m}\cdot\frac{\partial f}{\partial \boldsymbol{r}}=-\frac{f-f_0}{\tau}\tag{3.6}$$

の解を求めてみましょう。\(\boldsymbol{p}/m=\boldsymbol{v}\)として式変形すると

$$ f(\boldsymbol{r})=f_0(\boldsymbol{r})-\tau\boldsymbol{v}\cdot\frac{\partial f}{\partial\boldsymbol{r} }\label{boltzmann2}\tag{3.7}$$

となります。ここで、\(\tau\boldsymbol{v}\)の大きさが十分小さく、解がべき級数

$$ f=f_0-\tau\boldsymbol{v}\cdot f_1+{(\tau\boldsymbol{v})}^2f_2\cdots\label{perturbation}\tag{3.8}$$

の形で表せると仮定して、\(f_1,f_2,\cdots\)を求めてみます。式\(\eqref{perturbation}\)を式\(\eqref{boltzmann2}\)に代入すると、

$$ f_0-\tau\boldsymbol{v}\cdot f_1+{(\tau\boldsymbol{v})}^2f_2\cdots=f_0-\tau\boldsymbol{v}\cdot\frac{\partial f_0}{\partial \boldsymbol{r}}+{(\tau\boldsymbol{v})}^2\frac{\partial f_1}{\partial \boldsymbol{r}}\tag{3.9}$$

となり、各次の項を比較すると

$$ f_1=\frac{\partial f_0}{\partial \boldsymbol{r}},\;\;\;f_2=\frac{\partial f_1}{\partial \boldsymbol{r}},\cdots$$

と求まります。ここでは展開を1次で打ち切って、

$$ f(\boldsymbol{r})\cong f_0(\boldsymbol{r})-\tau\boldsymbol{v}\cdot\frac{\partial f_0}{\partial\boldsymbol{r} }\tag{3.10}$$

を近似解として採用しましょう。

 拡散電流\(\boldsymbol{J}\)(正確には拡散電流密度。単位はA/cm\({}^2\))を求めるには、運動量空間で\(\boldsymbol{v}f\)を積分します。

$$ \boldsymbol{J}=-q\int\boldsymbol{v}f d\boldsymbol{p}=-q\int\left\{\boldsymbol{v} f_0 – \tau \boldsymbol{v}\left (\boldsymbol{v}\cdot\frac{\partial f_0}{\partial \boldsymbol{r}} \right) \right\}d\boldsymbol{p}\tag{3.11}$$

今、\(f\)の偏りが実空間の\(x\)方向にのみ一様に生じていると仮定すると、拡散電流は\(x\)成分のみとなり、

$$ J_x=-q\int\left (v_x f_0 – \tau v_x^2 \frac{\partial f_0}{\partial x} \right) d\boldsymbol{p}=-q\tau\overline{v_x^2} \frac{d n}{d x}\tag{3.12}$$

となります。なお、ここでは分布関数が\(f_0(\boldsymbol{r},\boldsymbol{p})=n(\boldsymbol{r})g_0(\boldsymbol{p})\)と変数分離できると仮定し(\(n(\boldsymbol{r})\)は実空間上の電子密度分布を表します)、

$$ \overline{v_x}=\int v_xg_0(\boldsymbol{p})d\boldsymbol{p}=0\tag{3.13}$$

$$ \overline{v_x^2}=\int v_x^2g_0(\boldsymbol{p})d\boldsymbol{p}\left (=\frac{k_BT}{m}\right )\tag{3.14}$$

としています。\( \overline{v_x^2}= \overline{v^2}/3\)とおけるので

$$ J_x=-q\frac{\tau\overline{v^2}}{3}\frac{d n}{d x}\tag{3.15}$$

となり、これをフィックの法則

$$ J_x=-qD\frac{d n}{d x}\tag{3.16}$$

と比較すると、拡散係数\(D\)は

$$ D=\frac{1}{3}\tau\overline{v^2}\label{diffusivity4}\tag{3.17}$$

となります。緩和時間\(\tau\)を平均自由時間\(\overline{t}\)、根二乗平均速度\(\sqrt{\overline{v^2}}\)を平均熱速度\(\overline{v}\)とみなせば、\(\overline{l}=\overline{v}\overline{t}\)とおくことで、式\(\eqref{diffusivity4}\)は式\(\eqref{diffusivity3}\)と一致します。緩和時間\(\tau\)と平均自由時間\(\overline{t}\)は元来異なる概念ですが、1回の衝突で過去の履歴が完全に失われ速度分布がリセットされると仮定すると、両者は一致します(この仮定はよく設けられる仮定ですが、よくよく考えると無理がある仮定ではあります)。

 念のため断っておきますが、「\(D=\overline{v}\overline{l}/3\) が正しい」と言いたいのではありません。ボルツマン方程式の定緩和時間近似で導かれる拡散係数と整合する、と言いたいだけです。

拡散係数もいろいろ(2)

渡邉孝信(早稲田大学・電子物理システム学科)

ドリフト移動度から拡散係数を決めてみる

ドリフト移動度\(\mu\)は、 \(q\)を素電荷、\(m\)を電子の質量(正確に言うと有効質量)、\(\overline{t}\)を平均自由時間として

$$\mu=\frac{q\overline{t}}{m} \tag{2.1}$$

と表されます。\(\mu=q\overline{t}/(2m)\)としていた本も以前にあったようですが、それは誤りだというのが現在の統一見解です。

これはアシュクロフト-マーミン著「固体物理学の基礎」にも書かれている有名な話ですが、1900年に最初に電気伝導の古典的理論を発表したドルーデ自身、論文で\(\mu=q\overline{t}/(2m)\)と書いていました。その後、1905年に発表されたローレンツの論文で\(\mu=q\overline{t}/m\)に修正されたのです。

ドリフト移動度\(\mu\)に1/2をつけるか否かという問題はたいへん微妙で、アシュクロフト-マーミンの本でも第1章の最初の演習問題として取り上げて読者に熟考を促しています。実はこの問題が、ドリフト移動度だけでなく、拡散係数の式の違いにも関係してくる、というのがこのシリーズ記事を通して伝えたいことなのですが、この件については追々詳しく説明していきます。

 さて、ドリフト移動度\(\mu\)が決まっているなら、アインシュタインの関係式から

$$D=\frac{\mu}{q}k_BT=\frac{\overline{t}}{m}k_BT \tag{2.2}$$

と拡散係数\(D\)が一意に決まります。系が熱平衡状態に近く、エネルギーの等分配則

$$\frac{1}{2}m\overline{v^2}=\frac{3}{2}k_BT \label{equipartition}\tag{2.3}$$

が成り立つと考えてよければ、平均熱速度を根二乗平均速度として(\(\overline{v}=\sqrt{\overline{v^2}}\))

$$D=\frac{1}{3}\overline{v^2}\overline{t}=\frac{1}{3}\overline{v}\overline{l}=\frac{\overline{l}^2}{3\overline{t}} \label{diffusivity}\tag{2.4}$$

となります。ここで\(\overline{l}=\overline{v}\overline{t}\)としました。

 ここで注意すべきことは、熱平衡状態で成り立つエネルギーの等分配則の式\(\eqref{equipartition}\)を仮定している点です。拡散電流が流れている場合には熱平衡状態ではありませんから、マクスウェル・ボルツマン分布は歪んでいるはずで、等分配則も厳密には成り立ちません。式\(\eqref{diffusivity}\)はあくまで近似式に過ぎないことを忘れないようにしましょう。

拡散係数もいろいろ(1)

渡邉孝信(早稲田大学・電子物理システム学科)

ねぇおかしいでしょ1/2

半導体デバイスの授業では、キャリアの基本的な輸送機構として、

ドリフト電流 と 拡散電流

の概念をまず学びます。まだ非平衡統計力学を学んでいない場合がほとんどでしょうから、ドリフトや拡散の概念を説明する際は、高校物理で登場する気体分子運動論が用いられます。熱運動する気体分子に電子をなぞらえ、平均速度 \(\overline{v}\) 、平均自由行程 \(\overline{l}\) 、平均自由時間\(\overline{t}\) を使って、ドリフト移動度 \(\mu\) と拡散係数 \(D\) を表してみせるのです。

 その際に困るのは、この初歩的に導出される拡散係数 \(D\) の式が本によってまちまちで、しかもイマイチ釈然としない説明が多いことです。一方、ドリフト移動度 \(\mu\) の式はほぼ1通りに落ち着いています。そこで、金科玉条のアインシュタインの関係式

$$ D=\frac{\mu}{q}k_BT \label{einstein}\tag{1.1}$$

を使って( \(q\)は素電荷、 \(k_B\)はボルツマン定数、 \(T\)は絶対温度)、ドリフト移動度 \(\mu\) から拡散係数\(D\) を決定することで、そうした混乱を回避している教科書も多数あります。というよりむしろ、拡散係数\(D\) は式\(\eqref{einstein}\)で定めるべきでしょう。

 そうは言っても、拡散というキャリア輸送の微視的描像をつかむには、気体分子運動論に基づく説明に触れておくこともたいへん重要です。

 表1に、筆者が知っている範囲ですが、代表的な教科書や専門書に書かれている拡散係数の式をまとめておきました。どうしてこうもいろいろあるのでしょうか?

それは、平均速度 \(\overline{v}\) 、平均自由行程 \(\overline{l}\)、平均自由時間 \(\overline{t}\)といった量の「平均」の取り方に、いろいろな方法や考え方があるからです。

表1 様々な拡散係数の式。 \(\overline{v}\) :平均速度(熱運動速度)、 \(\overline{l}\):平均自由行程、\(\overline{t}\):平均自由時間 
  文献 拡散係数の式 備考
[1] S. M. Sze, M. K. Lee, Semiconductor Devices, Physics and Technology 3rd ed., Wiley (2013). \(D=\overline{v}\overline{l} \) 1次元モデル
[2]

B. L. Anderson, R. L. Anderson, Fundamentals of Semiconductor Devices 2nd. ed., McGraw-Hill, (2017).

\(D=\frac{1}{2}\frac{\overline{l}^2}{\overline{t}}\) 1次元モデル
[3] W. パウリ, C. P. エンツ, 熱力学と気体分子運動論(パウリ物理学講座3), 講談社, (1976) \(D=\frac{a}{2}\overline{v}\overline{l}\) 3次元モデル。\(a\)は平均自由行程にかかる無次元の係数。\(\overline{v}\)は平均速さ。文献[11]のChapmanの本に準拠。
[4]

F. Reif著, 久保 亮五監訳, バークレー物理コース「統計力学」, 丸善(1970)

\(D=\frac{1}{3}\overline{v}\overline{l}\) 3次元モデル。
[5] ファインマン物理学II 光・熱・波動, 岩波書店 (1986) \(D=\frac{1}{3}\overline{v}\overline{l}\) 3次元モデル。係数の決定が難しいことを丁寧に解説しつつ、最後に1/3を天下り的に導入。
[6] ランダウ=リフシッツ理論物理学教程「物理学的運動学I」, 東京図書(1982) \(D\sim\overline{v}\overline{l}\)  
[7] Atkins’ Physical Chemistry \(D=\frac{1}{3}\overline{v}\overline{l}\) 3次元モデル。導出はパウリ[3]とほぼ同じだが。最後に2/3を掛けている。\(\overline{v}\)は平均速さ。
[8]

戸田 盛和, 斎藤 信彦, 久保 亮五, 橋爪 夏樹, 統計物理学(岩波講座「現代物理学の基礎」), 岩波書店 (1978)

\(D=\frac{1}{6}\frac{\overline{l}^2}{\overline{t}}\) 3次元のブラウン運動モデル。「\(\overline{l}\)、\(\overline{t}\)の定義のしかたによって何らかの係数がかかることもあるが」との断り書きあり。
[9] O. E. Meyer, Kinetic Theory of Gases, (1899). \(D=\frac{\pi}{8}\overline{v}\overline{l}\) 3次元モデル。気体分子運動論による拡散係数の定式化の元祖。\(\overline{v}\)は平均速さ。根二乗平均速度を用いると\(D=\frac{1}{3}\overline{v}\overline{l}\)となる。
[10] J. H. Jeans, The Dynamical Theory of Gases, Cambridge University Press (1916) \(D=\frac{1}{3}\overline{v}\overline{l}\) 3次元モデル。Meyer[9]の式を簡略化した議論で導いている。
[11] S. Chapman, T.G. Cowling, The Mathematical Theory of Non-uniform Gases, Cambridge University Press (1939) \(D=\frac{a}{2}\overline{v}\overline{l}\) \(a\)は1に近い係数。\(\overline{v}\)は平均速さ。

まず注意すべきは、考えている系の次元が必ずしも同じではないということです。3次元空間における拡散流を考える際、その流れの方向に対して斜影をとるため、\(\overline{v}\)と\(\overline{l}\)はそれぞれ\(1/\sqrt{3}\)倍されます。3次元モデルの多くに1/3や1/6という係数がついているのはそのためです。終始1次元で議論している本では、1/3倍しないままにしています。

また、平均熱速度 には「速さの平均」や「根二乗平均速度」など、複数の定義があることも念頭に置いておく必要があります。ただしこの差はそれほど大きくありません。マクスウェル-ボルツマン分布を仮定した場合

$$平均速さ: \overline{|\boldsymbol{v}|}=\sqrt{\frac{8k_BT}{\pi m}} \label{meanvelocity}\tag{1.2}$$

$$根二乗平均速度: \sqrt{\overline{\boldsymbol{v}^2}}=\sqrt{\frac{3k_BT}{m}} \label{rmsvelocity}\tag{1.3}$$

となり、根二乗平均速度は速さの平均の0.92倍と、若干ですが小さめになります。

表1の文献[9]のMeyerの本は、気体分子運動論に基づいて拡散係数を定式化した最初期の仕事です。Meyerの式では、式\(\eqref{meanvelocity}\)の速さの平均\(\overline{|\boldsymbol{v}|}\)が\(\overline{v}\)として採用されていて、平均自由行程も\(\overline{l}=\overline{|\boldsymbol{v}|}\overline{t}\)とおいています。これらを根二乗平均速度\(\sqrt{\overline{\boldsymbol{v}^2}}\)に置き換えると、\(\overline{|\boldsymbol{v}|}=\sqrt{8/(3\pi)}\sqrt{\overline{\boldsymbol{v}^2}}\)、\(\overline{l}=\sqrt{8/(3\pi)}\sqrt{\overline{\boldsymbol{v}^2}}\overline{t}\)となるので、

$$D=\frac{\pi}{8}\overline{v}\overline{l}=\frac{\pi}{8}\overline{|\boldsymbol{v}|}^2\overline{t}=\frac{\pi}{8}\frac{8}{3\pi}\overline{\boldsymbol{v}^2}\overline{t}=\frac{1}{3}\overline{{\boldsymbol{v}}^2}\overline{t}$$

となり、\(D=\overline{v}\overline{l}/3\)としている他の文献と一致します。

 もう一つ、拡散係数\(D\)の違いの要因となっているのは、平均自由時間\(\overline{t}\)と平均自由行程\(\overline{l}\)の「平均」の取り方です。1/2倍の係数がかかったりかからなかったりするのは、この平均操作の仕方の違いに起因します(注:パウリ[3]とChapman[11]はまた別の理由で1/2の係数をつけています)。気体分子運動論では、気体分子同士の衝突イベントと次の衝突イベントの間の時間の平均が\(\overline{t}\)、衝突イベントから次の衝突イベントが起きるまでに進める距離の平均を\(\overline{l}\)、としています。これらの統計平均を計算する際、どのような確率分布を仮定するかによって、平均値(期待値)が変わってしまうのです。このシリーズ記事では、この確率分布の取り扱い方に焦点を当てて、拡散係数の式の違いを議論していきます。

D2マフズさんとM2保科さんINTAKEセミナーでダブル受賞!

2022年11月18日~22日、東北大学・青葉山キャンパスにおいて開催された国際セミナー “Integrated Nanocomposites for Thermal and Kinetic Energy Harvesting (INTAKE) Seminar 2022″で、博士課程2年生のマフス ハサンさんと修士課程2年生の保科拓海さんが、Best Presentation Awardを受賞しました。マフスさんは、Best Presentation Awardの中で最高位のFirst Prizeに選ばれました。

INTAKEセミナーは、「IoT社会を実現するマルチ環境発電材料・デバイス国際研究拠点形成事業」の一環で開催された国際セミナーです。東北大学、早稲田大学、九州工業大学、東海大学、大阪工業大学、東洋大学、英・マンチェスター大学、英・チェスター大学、英・アストン大学、中国・清華大学、中国・北京理工大学の若手研究者が参加し、活発な意見交換を行いました。

Best Presentation Award First Prizeを受賞したマフズさん
Best Presentation Awardを受賞した保科さん

 

D3シルビアさん電子デバイス界面テクノロジー研究会で服部賞(若手奨励賞評価・解析部門)受賞

2022年1月29日~30日に開催された「電子デバイス界面テクノロジー研究会」(第27回)で、博士後期課程3年のSylvia Y. Y. Chungさんが「Identifying an Anomalous Phonon Mode in SiGe Alloy using Molecular Dynamics Simulation」と題して口頭発表行い、この発表で服部賞(若手講演奨励賞 評価・解析部門)を受賞しました。